となる。
以上の状況から、個人情報の保護に関する条例が未だ制定されていない地方公共団体における整備の推進、オンライン接続に伴う地方公共団体間の条例内容の調整、国の保護法と条例との調整等を、住民基本台帳の改正と合わせて進める必要がある。
?A 個人情報保護条例の見直し
地方公共団体においても、都道府県及び政令市等でLANの構築が進みつつあるが、これら団体間でシステムがオンラインで直接接続されている例は現在ない。また、全市町村の70%以上にあたる2,300団体が住民登録のオンライン処理を行いながら、すべて市町村内に閉じたシステムとなっている。
このように、地方公共団体間のネットワークが今まで構築されなかった理由として、以下の2点が挙げられる。
* 地方公共団体における情報システムの大半が団体内で完結し、他の行政機関との直接的な接続を特に必要としなかった。
* 個人情報保護の観点から、大半の市町村で国の行政機関及び他の地方公共団体間のオンライン結合が禁止されてきた。
前者については、従来、市町村や都道府県の行政サービスが区域を越えて提供される事態や、国・地方間のシステム上の連携ということが現実的なものとして検討されるまでに至っていなかったという事情があると考えられる。最近、これだけ一般社会においてネットワークの普及、活用が進められるに及び、行政サービスについても、このネットワークのメリットを享受する形態のサービスに対して住民、民間企業等からも要望されるようになってきているのである。
国の行政機関の間で霞が関WANが構築され、ネットワークを介した情報利用が進められ、一方地方公共団体では市町村ネットワーク構想がだされるという状況において、この行政機関間のネットワーク接続は極めて現実的なものとなってきており、情報ネットワークを活用した今後の新しい行政サービスの提供を考慮すると、団体内に閉じたシステムでは対応できないことは明らかである。
例えば、現在、浜松市を中心とする静岡県西部広域圏において検討が進められている、22市町村間での住民票の写し及び印鑑登録証明書の広域交付、または、居住する都道府県以外の旅券センター等から、旅券申請、発給を可能にする行政サービス等、今後、既存の行政区域を越えた行政サービスの要求は増えてくるものと考えられる。
前ページ 目次へ 次ページ